仏像とは何か?
仏像とは仏教における信仰の対象として創造された仏界のほとけたちの姿になります。
仏とは仏陀であり、仏陀とは悟りを開いたもの(覚者)ということです。
この覚者を如来ともいって、古代インドでは、釈尊のことを指しています。ゆえに仏の像ということは
仏陀の像、すなわち如来の像だけを指すもので、菩薩や明王・天部にはあてはまりません。
ですが、現代ではお寺に祀られている像は夜叉・僧形を含めてすべて仏像と呼ばれています。
今回はこれらすべての像に対して仏像と称しておきます。そこから仏像の種類と年代を当てはめていきます。
仏の種類
仏には如来・菩薩・明王・天部の4種類があり、さらにこれらを各分類するとまた多くの仏様が存在しています。
特徴・装飾品は身につけていないので、シンプルな印象を持ちます表情も優しくふくよかな身体と特徴的な髪形。教えの上では成道者と呼びます。
- 釈迦如来(しゃかにょらい)
- 薬師如来(やくしにょらい)
- 阿弥陀如来(あみだみょらい)
- 大日如来(だいにちにょらい)
- 五智如来(ごちにょらい)
- 弥勒如来(みろくにょらい)
- 成道者(じょうどうしゃ)
特徴・中世的な表情で装飾品を多く身に着けています。教えの上では修道者と呼びます。
- 聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)
- 十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)
- 十一面千手観音菩薩(じゅういちめんせんじゅかんのんぼさつ)
- 地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
- 弥勒菩薩(みろくぼさつ)
- その他
怒っている表情が特徴的。教えの上では化身と呼びます。
- 不動明王(ふどうみょうおう)
- 五大明王(ごだいみょうおう)
- 愛染明王(あいぜんみょうおう)
- その他
天部には様々な仏様がおり女性の像や手がたくさんあったり多種多様な造形をしています。教えの上では守護者と呼びます。
- 四天王
- 梵天
- 帝釈天
- 弁財天
- 十二神将
- その他
上記が主な種類と特徴になりますが、仏像の歴史は長く他にも様々な仏様が存在しており、その時代や製作者によって印象も大きく異なります。
仏像の年代
◎多い 〇やや多い /ほとんどない
700 奈良(前期) 〇
奈良(後期) ◎
800 平安(弘仁) ◎
900 平安(初期) ◎
1000 平安(中期) ◎
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) 〇
1300 鎌倉(末期) 〇
南北朝 〇
1400 室町 〇
1500 桃山 〇
1600 江戸(初期) 〇
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) ◎
奈良(後期) ◎
800 平安(弘仁) ◎
900 平安(初期) ◎
1000 平安(中期) 〇
1100 平安(末期) 〇
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) ◎
1300 鎌倉(末期) ◎
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) ◎
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) 〇
奈良(後期) /
800 平安(弘仁) 〇
900 平安(初期) ◎
1000 平安(中期) ◎
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) ◎
1300 鎌倉(末期) ◎
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) ◎
1800 江戸(末期) ◎
700 奈良(前期) /
奈良(後期) /
800 平安(弘仁) ◎
900 平安(初期) ◎
1000 平安(中期) ◎
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) 〇
1300 鎌倉(末期) 〇
南北朝 〇
1400 室町 〇
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) 〇
奈良(後期) 〇
800 平安(弘仁) 〇
900 平安(初期) /
1000 平安(中期) /
1100 平安(末期) 〇
1200 鎌倉(初期) 〇
鎌倉(中期) 〇
1300 鎌倉(末期) /
南北朝 〇
1400 室町 〇
1500 桃山 〇
1600 江戸(初期) 〇
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) /
700 奈良(前期) ◎
奈良(後期) ◎
800 平安(弘仁) /
900 平安(初期) /
1000 平安(中期) /
1100 平安(末期) 〇
1200 鎌倉(初期) 〇
鎌倉(中期) 〇
1300 鎌倉(末期) /
南北朝 /
1400 室町 〇
1500 桃山 〇
1600 江戸(初期) 〇
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) 〇
奈良(後期) 〇
800 平安(弘仁) ◎
900 平安(初期) ◎
1000 平安(中期) ◎
1100 平安(末期) 〇
1200 鎌倉(初期) 〇
鎌倉(中期) 〇
1300 鎌倉(末期) 〇
南北朝 〇
1400 室町 〇
1500 桃山 〇
1600 江戸(初期) 〇
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) /
奈良(後期) 〇
800 平安(弘仁) 〇
900 平安(初期) 〇
1000 平安(中期) 〇
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) ◎
1300 鎌倉(末期) 〇
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 〇
1600 江戸(初期) 〇
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) /
奈良(後期) 〇
800 平安(弘仁) 〇
900 平安(初期) 〇
1000 平安(中期) 〇
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) ◎
1300 鎌倉(末期) 〇
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 〇
1600 江戸(初期) 〇
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) /
奈良(後期) /
800 平安(弘仁) 〇
900 平安(初期) 〇
1000 平安(中期) ◎
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) ◎
1300 鎌倉(末期) ◎
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) ◎
1800 江戸(末期) ◎
700 奈良(前期) /
奈良(後期) /
800 平安(弘仁) 〇
900 平安(初期) ◎
1000 平安(中期) ◎
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) ◎
1300 鎌倉(末期) ◎
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) ◎
1800 江戸(末期) ◎
700 奈良(前期) /
奈良(後期) /
800 平安(弘仁) 〇
900 平安(初期) 〇
1000 平安(中期) ◎
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) 〇
1300 鎌倉(末期) ◎
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) ◎
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) 〇
奈良(後期) 〇
800 平安(弘仁) ◎
900 平安(初期) ◎
1000 平安(中期) 〇
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) ◎
1300 鎌倉(末期) ◎
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) 〇
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) 〇
700 奈良(前期) /
奈良(後期) 〇
800 平安(弘仁) /
900 平安(初期) 〇
1000 平安(中期) ◎
1100 平安(末期) ◎
1200 鎌倉(初期) 〇
鎌倉(中期) 〇
1300 鎌倉(末期) 〇
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 〇
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) ◎
1800 江戸(末期) ◎
700 奈良(前期) /
奈良(後期) /
800 平安(弘仁) /
900 平安(初期) /
1000 平安(中期) /
1100 平安(末期) 〇
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) 〇
1300 鎌倉(末期) 〇
南北朝 〇
1400 室町 ◎
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) 〇
1800 江戸(末期) /
700 奈良(前期) 〇
奈良(後期) 〇
800 平安(弘仁) /
900 平安(初期) /
1000 平安(中期) 〇
1100 平安(末期) 〇
1200 鎌倉(初期) ◎
鎌倉(中期) ◎
1300 鎌倉(末期) 〇
南北朝 ◎
1400 室町 ◎
1500 桃山 ◎
1600 江戸(初期) ◎
1700 江戸(中期) ◎
1800 江戸(末期) 〇
以上が各年代に多い仏像の種類になります。
仏像が作られた年代は?
仏像が製作されている時代を調べるには様々なポイントがありますが、その一部をご紹介いたします。
木造の場合は一木造(いちぼくつくり)か寄木造(よせぎつくり)により分類されます。
一木造は頭部と躰部が共木で彫られているものであり、寄木造は頭部と躰部をいくつかの材を貼り合わせて彫り、内部は空洞にしているものになります。
例外もありますが、木造の構造から考えると同じ材質、同じ大きさの像ですと内部が空洞かどうかで重量が異なります。この重量によって一木造か寄木造かが分かるのです。
この二つの構造が大別される時代は?
一木造は藤原中期ごろまでが多く、寄木造りはそれっ耕から製作されており現代まで続いています。この両構造にも各時代に特徴はありますが、重いものは大体藤原中期ごろまでで、
軽いものはそれ以後のものが多いと考えられます。
主な素材は、金・銀・水晶・しゃこ貝・瑪瑙・七宝・真鍮・赤銅・白銅・白鍮・鉛・錫・鉄・木・泥・膠・漆・布・石、など
数多くの素材が使用されていますが、圧倒的に多い素材は木材になります。
樹の多い日本の風土では木材が使われるのは当然のことでしょう。
この木材が使われていくうちにも各時代では量的な変遷があり、その材種にも時代の流れがあったのです。この材料を知ることが時代の大別に役に立ちます。
木造の種類、檜・松・杉・榧・樟・欅・桂・栴檀・桜・香木
もちろん、小さくても時代が古くて立派なものもあり、大きくても時代は新しく駄作もあるので、一概には決められませんが、
例えば同じ仏師が大小二体の仏像を依頼されたときに、その心構えは、小さいものは試作的に、大きいものは自然と意欲的なる傾向にあります。
平安時代から盛んになった木造仏は木を彫刻する為、眼の形も鼻や口と同じように彫り出し、これに彩色などをして瞳を描いていたのです。
しかし、鎌倉時代は写実的表現をしようとしていたので、仏像のいちばん肝心な眼をいかにも生き生きと本物のように表そうと考案したのが、
すなわち水晶をはめ込むことでした。これを玉眼といいます。様々な時代で古い仏像も改悪などは見受けられますが、玉眼が入っていれば、
鎌倉以後のものであると判断できます。
前者には気品があり、後者には卑俗があると思われます。
さらに分類すると、奈良時代までの皇族文化の気品には、国家・天皇・皇族を表す大スケールであり、
平安時代には藤原貴族らしい気品はあるが、彼ら一族の個人的スケールです。
鎌倉以後の卑俗は、政権が武家に移った豪快さが含まれていますが、江戸末期には、庶民文化の盛んになった時代ですので、
そのなかにはむしろ下品に感じるものもあります。
いかり肩は藤原中期から鎌倉の中頃までで、鎌倉の末ごろからすこしなで肩になろうとし、南北朝からはなで肩になります。
さらに極度のなで肩が多くなるのは江戸中期からです。
これは当時の美人型の流行から仏象にも影響を与えたのではないかと思われます。
反り身・飛鳥時代にはあごを引き、頭部を少し前倒しにして肩を後ろに引き腰を前に出すと少しS字型になります。
反り身に近いものは平安前期までで、天平のものは特に胸から肩にかけて肉付きが多い。
直立・完全な直立に近いのは藤原初期から末期にかけて多く、初期にはあごを少し引いてますが、中期から特に末期のものはあごを前に
突き出しています。そして、後頭部、肩、臀部、裾をほとんど一直線にし、初期より末期にしたがって胸奥、腹億が薄くなっています。
前倒れ・前倒れはすべて鎌倉時代からで、あごを引かずに頭部を少し前に倒して上半身を前に倒す姿勢です。
この場合、普通は腹部がくぼみますが、この姿勢で猫背のように曲げて腹部を前にだしています。このような不自然な姿は
時代が降るはなはだしくなって特にこの悪い点のみ膨張したのが江戸中期以後のものに多くあります。
上記の姿勢から、像の鼻先から垂線をおろし、この先が落ちる点の位置によって時代を大別することができます。
胸部の両乳首部を結ぶ位置におちるのが平安前期のものに多く、その位置が上がるにしたがって古い時代になってゆきます。
これも天平の中期までで、それ以前のものにはあてはまりません。この方法は分かりやすいですが例外も多くあります。
仏像の鑑定は奥が深い
上記記載のように色々と査定するポイントなどを解説しましたが、仏像の歴史やその時代にあったものと断定するには上記だけで判断することは中々難しいです。
やはり数多くの仏像などをご自身の目で見て経験を増やしていくしかないと思います。そして上記では伝えきれていない詳細な部分などもまだまだございますので、
また次回お伝え出来ればと思います。また当店では仏像の査定も無料で行っております。査定のご相談もお気軽にお申込みくださいませ。